院長あいさつ
2025年4月1日付けで豊後大野市民病院の院長に就任しました甲斐成一郎です。
昨年4月に副院長として病院運営に関わり、木下忠彦前院長の後任として、今後の運営を担うこととなり、大きな責任を感じております。
豊後大野市をはじめとする豊肥地区は、少子高齢化が非常に早く進行している地域であり、日本の中でも先進的な課題を抱えています。このような地域において、当院は公立病院として、地域の医療・介護・福祉を守る重要な役割を担っています。しかし、この少子高齢化がもたらす影響は深刻であり、人口減少が患者数の減少や働き手不足を引き起こし、病院運営に大きな影響を及ぼしています。この課題は当院に限らず、全国の病院が直面している問題であり、医療制度全体に対する抜本的な改革が求められています。
その中で、病院機能を維持することはもちろん、今後発生が予想される新興感染症や、南海トラフ地震などの大規模災害にも備えることが重要です。私たちだけではこれらの問題を解決することは難しいため、地域の医療機関、福祉施設、そして住民の皆様と協力し、より高度な地域包括ケアシステムを構築することが求められています。
また、近年、働き方改革が進み、病院も例外ではありません。以前は「24時間戦えますか?」という言葉が象徴するように、過酷な労働環境が常態化していましたが、現在ではそのような時代は終わりを迎えつつあります。病院は24時間稼働していますが、職員の健康が損なわれることが患者様にとっても不利益をもたらすことを実感しています。地域医療を守るために、職員の健康と生活を守ることも院長としての重要な使命であると考えています。公立病院として地域の皆様を支えるためには、病院と職員が健全であることが最も大切な前提です。
限られた労働力で働き方改革を実現するためには、業務の効率化が不可欠です。その一環として、医療分野でもデジタルトランスフォーメーション(Dx)の必要性が叫ばれており、国もその推進に力を入れています。当院でも、より良い医療を持続的に提供できるよう、医療Dxを積極的に進めていきます。病院の外観は変わらないかもしれませんが、「市民病院が変わった」と感じていただけるような病院作りを職員一丸となって進めてまいります。
医療や福祉は、誰かの犠牲の上に成り立つものではありません。地域住民が支え合い、共に築き上げる医療・福祉を実現するため、当院がその礎となれるよう、「豊肥地区 One Team」の一員として精一杯努力していく所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
豊後大野市民病院 院長 甲斐 成一郎